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新型コロナ重症化を遺伝子レベルで解明へ 慶大など

 新型コロナウイルスによる日本の死者が欧米より低く抑えられている背景を、遺伝子レベルで解明する試みが国内で始まった。慶応大や東京医科歯科大などが共同で研究プロジェクトを発足。日本人患者の遺伝子解析から重症化要因を突き止めることを目指し、治療やワクチン開発への応用も視野に入れる。

 

 新型コロナの死者は、米国が9万人以上、英国やイタリアが各3万人以上に上っているのに対し、日本は800人台で圧倒的に少ない。東アジアや東南アジア諸国も欧米よりは少数にとどまる。マスク着用や手洗いなどの生活習慣、肥満体形や糖尿病などの持病、医療システムの違いなどが要因として指摘されるが、明確にはなっていない。

 

 プロジェクトには慶応大、東京医科歯科大、大阪大、北里大、京都大を中心に8つの研究機関と医療機関約40施設が参画。感染症や遺伝、免疫などの専門家が名乗りを上げ、日本医療研究開発機構(AMED)から研究費を得ている。

 

 研究では、協力医療機関で同意を得た日本人の重症患者、軽症患者、無症状の感染患者各200人、計600人の血液を集め、遺伝情報を解析。重症化につながる遺伝子を探す。

 

 研究統括を務める慶応大医学部の金井隆典教授(消化器学)は「重症化には、HLA(ヒト白血球抗原)やサイトカイン(情報伝達物質)関連の遺伝子が関わっている可能性がある。その疾患感受性遺伝子が分かれば、発症時すぐに患者が重症化しやすいか、軽症ですみそうかを判断できるだろう」と指摘する。

 

 今秋にも結果を取りまとめたい意向で、対象患者をさらに増やして解析を進めながら、ワクチン開発に役立てる。遺伝子レベルの要因解析は欧米でも行われており、国際的な共同研究も見据えている。「重症化する遺伝子は同じで、日本人はその遺伝子が少なく、イタリア人には多いといった可能性もある」(金井教授)という。

 

 金井教授は「最終的に診断時に患者の予後の予測に役立ち、第2、第3の流行の波が来たとき、医療崩壊を防ぐことにもつなげられるかもしれない」と期待を寄せる。

 

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